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JEGOG(ジェゴグ)とは …4音階の神秘

過去のSuar AgungのWebサイト(現在は閉鎖してます)からの転載です

 

バリ島西部・ヌガラの伝統芸能として伝わった巨大竹筒打楽器。1チームが14台で構成されたアンサンブル演奏。最も大きな竹は長さ3m、直径18cm、肉厚3cm、この竹の音は人間の耳が聞き取ることができる最も深い超・重低音を発します。竹の音は会場の建物や木、人間と反響し合い一体となり幽玄な舞台空間を表します。4音階の竹打楽器は世界でもこのジェゴグだけです。4つの音階は東西南北の方位を意味し、それぞれに神が宿り、その中心にシバ神があるといいます。竹の音にも、楽器の意匠にもバリ・ヒンドゥ教の宇宙観が具現化された大変珍しい音楽です。

ジェゴグは、オランダ植民地時代、竹が武器になることから演奏が禁じられ一度途絶えましたが、インドネシア独立後、スウェントラ師(スアールアグン団長)によって復興され、師の指導によりヌガラの村々に広まり現在約52チームがあります。

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ジェゴグのもう1つの特徴「ムバルン - 音の格闘技 -」

竹の大きさだけではなく、ジェゴグのもう1つの特徴は「ムバン」“音の格闘技”ともいわれる、2つのジェゴグ・グループが演奏でその雌雄を決するというものがあります。
まず片方のグループが演奏を始め、盛り上がった頃を見計らっ
てもう片方のグループが演奏を始めます。これは「音が被さってくる」というような生やさしいものではありません。「相手の演奏を破壊する」と言った方が正確でしょう。そして先に弾き始めたグループが去り、後のグループがかすかな脱力感を残しながら音楽を終えるのです。演奏家の表情も音楽を楽しむというよりはサンドバッグを打ち続けるボクサー。その顔はランナーズハイにも通じる恍惚状態。
トランスで知られるバリですが、集団トランスと呼べるほどの規
模です。意識が飛んでも演奏を続けるところなぞ、まるで自動筆記をみるような憑依行動です。

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"ジェゴグ"と"自然バランス"の関係

私たちの生きている世界には、1から11までのバランスがあります。

8つの方角と。保護を司るウィスヌ神、想像を司るブラマナ神、そして破壊を司るシウ”ァ神の3神の計11のバランスで成り立っているのです。そして、男と女、左と右、天と地、陰と陽などのバランスが崩れることによって、この11のバランスに異変をきたし、天変地異が起きたり、世界にさまざまな争いが生じたりすると考えられています。

バリの伝統芸能は、すべてこのバランスを重視して演奏されます。なぜならバリの音階は、人びとが神に捧げる祈りから生まれたものだからです。つねに美しく、楽しい音楽には、感謝の気持ちと祈りが込められているのです。

ジェゴグによって奏でられる音階は4つですが、そのぞれの音は「方位」と「色」を表し、同時にそれぞれの神を宿しています。

そして4つの音が一体になったものが、方角の中心、すべての色を含む混合色、シウ”ァ神=守護神、を表すのです。
うねる重低音は大地から沸き立つ音、甘えるように誘いはねる高音、絡み合う4音階は集い、激しくぶつかりせめぎあい、次第に調和とバランスへと導かれていきます。ジェゴグの音は縦の波動となってその場にあるすべての魂にダイレクトに伝わります。野外であれば、そこにある土、木や植物、建物、その空間全部と、劇場の中では、反響する音をも巻き込むように、演奏する土地、場所にすでにあるタクスゥー(目に見えないパワー)と響働するのです。

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ジェゴグの歴史

この世界に稀な竹のガムランが誕生したのは1912年頃。ヌガラからジュンブラナ県一帯に農民の娯楽として広がり、やがて収穫祭や祝い事、儀礼に欠かせないものとなっていきました。順調に発展していくかにみえたジェゴグですが、第二次世界大戦後のオランダ植民地政府によって禁止、没収されてしまいました。人が集まるのが困るというのはともかく、楽器の竹を武器にして反抗することを恐れたのが理由です。1979年にヌガラ出身のスウェントラ氏が復活させるまでの30年以上の空白期間がありました。

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ジェゴグの仕組み & 各パートの役割

構成はサイズが異なる14台のティンクリック(竹筒ガムラン)を並べたもの。

前列に3台の「Barangan」
バランガンの担当はメインのメロディキーパーです。
この3台の中央でプレイするプレイヤーがそのグループの指揮者です。 
2列目に同じく3台の「Kancil」
カンチールの担当はリズムキーパーです。
3列目はセンターに小型の「Suir」
高音のスウィールはカンチールと同じくリズムキーパーです。
その両サイドに「Kuntung」
同じく高音のクントゥンはメロディーキーパーです。
最後の4列目には1台の「Jegog」を挟んで「Undir」
ウンディール
ジェゴグ
人間の耳が聞き取れるギリギリの重低音のジェゴグとウンディールは、バンドでいうベースライン担当です。

 

最後列の3台はゴム製のバチで、他は木製のバチで叩きます。

「ジェゴグ」というのはこの最低音の楽器からとったものです。長さ3m、直径20cmという巨大な竹は、地元ジュンブラナ県に自生する学名「デンドロカラムス・ギガンテウス」というもの。これだけ大きいと通常の竹琴のように立って演奏するという具合にはいきません。低音を受け持つ最終例は楽器の上に座り込んでの演奏ということになります。ジェゴグなど2人掛かりです。

ジェゴグの低音を包み込むように、
左右のウンディールが豊かな余韻を重ねてゆくのです。どちらも柔らかいゴムのバチで打ち下ろすからこそ、パイプオルガンのような持続音が可能になるのでしょう。おまけに複数ある楽器もそれぞれが微妙にチューニングをずらしてあります。アンサンブルに独特のうねりが生じるのはそのためです。

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