文・伊藤博史.ことの始まりは、初めてスアール・アグンを聞いてから3年ほど経った頃だ。1992年、予備知識もなく参加した、スアールアグンのジェゴグに感動した。理由もなく涙が溢れた。地球の波動を全身に感じたかのように、鳥肌がたっていた。この心地よい体験を一人でも多くの人と共有したくて、居酒屋・影武者を訪れる日本人観光客に、ジェゴグの素晴らしさを説明し、説得し、鑑賞を薦めた。そうして集まってくれた人たちと、ウブドからベモ(中型乗合バス)をチャーターして、悪路の国道をヌガラに向かう。「ジェゴグを聴くなら現地で!」が私のキャッチフレーズ。片道5時間の道のりが苦でなかった。スアール・アグンの
エッセイ


