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スアール・アグン
メモリアル・ドキュメンタリー
来年2月、10年ぶりとなるスアール・アグンの来日公演が決定しました。
日程は、2月19日が愛知県の「豊田市コンサートホール」、2月22日が福岡市の「博多座」、そして2月25日が東京の「めぐろパーシモンホール/大ホール」。
日本の皆さん、ぜひ会場へ足をお運びください!
文・(株)博多座 取締役相談役 貞刈厚仁
私は1989年に福岡市で開催されたアジア太平洋博覧会-福岡89で企画の仕事を行っていました。アジアの雰囲気を会場に満たすべくオフィス・アジアの峰岸さんの力と国際交流基金の支援を得て種々の優れたパフォーマンスを招聘しましたが、その一つがスウェントラさん率いるスアル・アグンの「ジョゲブンブン」公演でした。竹楽器が奏でる軽やかなリズムと観客を誘ってのダンスは好評で博覧会を盛り上げてくれました。
公演期間中には歌舞伎の坂東玉三郎さんも訪ねてこられ、スウェントラさんや息子さんのグデオカさんと一緒に記念撮影したことも良い思い出です。おそらく、博覧会での公演が、スアル・アグンの初の海外公演ではなかったでしょうか。その後、日本始め海外で公演を重ねインドネシアを代表するグループになられたことを大変に嬉しく思っていました。
私は福岡市副市長を経て、2019年に㈱博多座の社長になりました。博多座は、その目的のひとつに優れたアジアの芸能紹介を掲げています。興行がメインの会社ではありますが、就任後、「博多座・神楽祭り」「モンゴルの風・モンゴル国立馬頭琴交響楽団」公演を行い、今回の「ジェゴク」公演に至ったものです。
御承知の通り劇場は2020年からのコロナ禍に翻弄されました。博多座も2020年には半年間休演となり、その後も席数制限が続くなど厳しい状況が続きました。2023年の後半から、ようやく落ち着いてきましたが、パンデミックによる観光や演劇興行への深いダメージを思う中でスアル・アグンの事も気になっていました。
2024年の秋、オフィス・アジアにいた白井さんにスアル・アグンの状況を尋ねたところ、コロナ禍でヌガラでの演奏会も出来なくなった、スウェントラさん御夫妻も亡くなられた、スアル・アグンの状況も厳しいとのこと。何とか応援出来ないかとの気持ちになりました。そして偶然にもグデオカさんが岐阜を訪れることも知り、直談判しに行きました。
年末、岐阜でグデオカさんとお会いしました。博覧会で踊っていた美少年はサンフランシスコで活躍する舞踏家となり同時にスアル・アグンの代表でもあるとのこと。当時の話に花を咲かせながら、「福岡で海外公演を再開しましょう」「ジェゴクを甦らせましょう」ということになり、福岡・博多座と、スウェントラさんの御縁も深い名古屋音楽大学のある愛知県、そして首都・東京の3都市で公演をすることになりました。
会場ごとそれぞれに趣向を凝らしたものになるよう企画しています。今回の招聘は利益を得る興行ではなく博多座の使命を果たすことが目的です。たくさんの観客の皆様にジェゴグを見て聴いて喜んでいただきたい思いです。クラウドファンディングに御協力されたジェゴグファンの皆様の力強い応援を宜しくお願いします。
*編集部注)Suar Agungはスアール・アグン、時にスアル・アグンとも表記される。2026年公演ではスアル・アグン表記を採用しました。
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文・ギタリスト 関 将
1991年から2016年まで、ほぼ毎年来日公演を行い、日本のファンを熱狂させてきたスアール・アグン楽団の創始者であるスウェントラ氏が亡くなったのが2018年。コロナ禍が無ければ、もう少し早く来日公演が叶ったのでは、という声もあるが、この8年という時が代替わりには必要だったんだと思う。
スウェントラ氏と二人三脚で走ってきた日本人である妻・和子氏が2023年に亡くなり、いよいよマネージメントも楽団運営も、長男であるグテオカ氏独りが継がなくてはならなくなった。
音楽的な教養よりも踊りの英才教育を受けた彼は、30歳を過ぎてから本格的に作曲の勉強を始め、ようやくジェゴグ奏者としても一人前になってきた矢先に父親に先立たれてしまった。
前後するが、父親の亡くなる数年前、彼はアメリカ移住を果たし、音楽大学でガムラン演奏を教える仕事を始めた。
父親の死によって、新しい人生を歩み始めたグテオカにとって、スアール・アグン楽団の未来を唐突に託されてしまったのだ。
今回の来日が、復活の皮切りとなるのか、最後の来日となってしまうかはグテオカ次第かもしれないし、この来日コンサートが彼らを強くさせるかもしれない。それは未来になればわかることであろう。
ジェゴグという音楽を復活させたスウェントラ氏と、それを存続・発展させる責任を背負わされた長男グテオカ。応援せずにはいられない。
このコンサートの観客に告ぐ。歴史を動かせるのはあなたたちかもしれない!